【イベントレポート】データビジュアライズソン企画作成会議 9月15日

 9月15日のさくらWORKS<関内>では、データビジュアライズソン企画作成会議(https://www.facebook.com/events/1027595017353833/)が開催され、8名の方が参加しました。

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▽データビジュアライズとは?
 データビジュアライズは、データを直観的にわかりやすい状態にするために事象の状態あるいは時系列変化を図形や色へのマッピング、あるいはアニメーションを用いて可視化することです。
例:LOCALGOODYOKOHAMA
http://yokohama.localgood.jp/data/


▽オープンデータの活用とは?
最近では、下記のようなことを目的として、行政をはじめとして多くの期間が保有しているデータを公開しつつあります。

●透明性・信頼性の向上:
公共データが二次利用可能な形で提供されることにより、国民が自ら又は民間のサービスを通じて、政府の政策等に関して十分な分析、判断を行うことが可能となる。それにより、行政の透明性が高まり、行政への国民からの信頼を高めることができる。

●国民参加・官民協働の推進:
広範な主体による公共データの活用が進展し、官民の情報共有が図られることにより、官民の協働による公共サービスの提供、さらには行政が提供した情報による民間サービスの創出が促進される。これにより、創意工夫を活かした多様な公共サービスが迅速かつ効率的に提供され、厳しい財政状況、諸活動におけるニーズや価値観の多様化、情報通信技術の高度化等我が国を取り巻く諸状況にも適切に対応することができる。

●経済の活性化・行政の効率化:
公共データを二次利用可能な形で提供することにより、市場における編集、加工、分析等の各段階を通じて、様々な新ビジネスの創出や企業活動の効率化等が促され、我が国全体の経済活性化が図られる。また、国や地方自治体においても、政策決定等において公共データを用いて分析等を行うことで、業務の効率化、高度化が図られる。

(総務省HP:http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/opendata01.html#p1-1
より)

▽オープンデータを活用するために

 しかし、せっかく公開されたデータでも、身近な情報として多くの人々に活用していただくためにはデータを紐解き、わかりやすい形に加工する必要があります。
 LOCAL GOODでは、市民ひとりひとりが「わたしのまち」を舞台にできることを応援しています。 その中で、より多くの人の共感を得て仲間を増やしていくためには、取り組みたい課題をわかりやすい形で表現することは重要な要素の一つとなってきます。

 

▽会議開催趣旨 

横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事・LOCAL GOOD YOKOHAMA事務局:杉浦裕樹氏より(以下杉浦氏)

「上記のデータビジュアライズに関して、横浜コミュニティデザイン・ラボでは中々行う事ができていません。そのため今後更に人目につくようにして、情報にアクセスしやすくしたいと考え、開催しました。」

 

▽LOCAL GOOD YOKOHAMAのデータビジュアライズに関する説明:杉浦氏より

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http://yokohama.localgood.jp/data/765/

 杉浦氏

 「上記の画像はNDCグラフィクスという会社に頼み、横浜市の統計データを絵にしていただいたものであり、プロのデザイナーが手掛けています。

  他にもデータがあり、都市大学東京小池研究室に作成していただいているものがあります。」

(データ一覧:http://yokohama.localgood.jp/data/

 

▽バルセロナの事例:一般社団法人リンクデータ 代表理事  下山 紗代子氏より(以下、下山氏)

下山氏

 「バルセロナではデータに基づく政策提言が行われています、都市を生態として見ています。

モビリティ・エネルギー・ゴミ・水・都市計画・多文化共生など、それぞれの分野を生態系として見ています。

  多様性がある地域ほど発展しているというデータがあります。様々な条件に基づき、地域を評価やランキング化しています。

 活用例として、排気ガス量が多い地域に対して、速度規制を行うこと・交通規制を行うことなどによって排出量を減らすためのシミュレーションを行います。これにより、政策を実行するときに、データに基づいた根拠を用意出来ます。

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 私は、都市の多様性を可視化してみたいと考えています。生物学的な多様性として、

生物学の定義では『あるエリアの生物が、どれだけ種類がいて、どれだけばらつきがあるか』というものがあります。

  『人間の多様性があると、状況変化に強いのか?』ということを調べるために、生物学での多様度指数(ダイバーシティインデックス)というものを使用します。

 『1、人種 ・2、職業』により、確率論を使った計測を行います。

生物学ではあるエリアで生物2種を捕まえ、それが同じ種であるかを調べます。多様度指数は

『0(多様性低)~1(多様性高)』の間があります。生物を5種捕まえて、5種全てが同じ種よりも、5種全てが異なる種の場合が多様度指数は高いです。

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人種に関するデータをこのように表示します

  バルセロナと神戸市で比較検証を行いました。バルセロナの場合は、人種に関しては、『1、スペイン人 2、イタリア人 3、パキスタン人』の順に多く、0.296という多様度指数を示しています。 

  神戸市の場合は、人種に関して『1、日本人  2、韓国人  3、中国人』の順に多く、0.056という多様度指数を示しています。横浜の多様度指数は0.044でした。

(横浜市外国人人口 【出典:政策局統計情報課】 http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/service/living/election/binran/2015/doc/07.pdf

   プログラムとしてJAVAスクリプトを利用し、サンプルコードをコピーアンドペーストで半日程で作成できました。CodePen(http://codepen.io/)というソフトを使用しています。

 他にもエクセルでデータビジュアライゼ―ションを分かりやすく表現することが出来ます。Office 365 を使ってできるため、
プログラムを扱った事が無かったとしても、テキストの切り貼りレベルから覚える事も出来ます。
http://matome.naver.jp/odai/2142183563001150201

職業に関する多様性として、バルセロナは日本と産業分類が異なる為、未計測ですが、神戸市と横浜市を比較しました。

   神戸市は『1,飲食系(レストランなど)  2,医療機関  3,食品系』の順になっており、0.971の数値を示しています。 横浜市は不動産が一位であり、0.971という数値を示していました。」

杉浦氏

「横浜コミュニティデザイン・ラボでは、横浜市からの受託事業として、今年度はデータサイエンティストを育成するための学びの場づくりを行う予定です。」

 

▽データビジュアライズとインフォグラフィック 横浜コミュニティデザイン・ラボ事務局小泉学氏より

(以下、小泉氏)

小泉氏

「このようなデータビジュアライズの定義に関してですが、インフォメーションを絵にするものがインフォグラフィックです。データビジュアライズはデータを視覚化するものです。

 インフォグラフィックは情報視覚化として、男女トイレのマークが、マークを見て男女だとわかるようなものです。鉄道路線図を分かりやすくすることは、インフォグラフィックです。     

  目的によっては、どちらかの方法では必ず正確ではないため、そこを分別する必要があります。今回の内容としては、データビジュアライズが近いと考えています。

 過去にナイチンゲールは、クリミア戦争で亡くなったイギリス兵士の死因を分析してインフォグラフィックにまとめ、議会に提出することで、必要な対策を実施しました。(http://www.visualthinking.jp/archives/13893

 初心者でも取り組みやすいように、表に数値を入れると自動的にマップが色分けされるwebアプリが必要ではないかと思います。上記のようなアプリがあり、もくもく会を開き、各々が調べたいデータを調べ、見える化する必要があるのではないかと思います。
 データも、作成者の結論ありきや書き方によって都合がいい数字を出すことが出来るため、そこを冷静に見る事が必要です。」

下山氏:
 「ナイチンゲールのデータの見せ方は印象的です。公平なデータを見せつつも、自分が伝えたいことを伝えるデータにしている誰が見ても課題を認識できるようにしています。」

参加者の方より:

  「人口密度などのプルダウンがあって、そこを押せばいいようにしてほしいです。プルダウンも、都市分野の中でのジャンル。福祉も、介護と医療など、別々ですが、同じデータを見たい人達にとってのデータが固まっていてほしいです、データを引き出しやすくしてほしいです。

  統計学というよりも情報がどこにあるかを探す能力が必要だと思います。」

 

下山氏:

  「別の場所でデータビジュアライズに関する議論をする中で出た意見は、明確なメッセージがある場合がインフォグラフィック、公平な見方をしたい場合がデータビジュアライズを使うということです。

 横浜が1位になるデータを探してみることや、横浜が1位になるデータを作ってみてもいいかもしれないです。

  適当な指標を作ってもらい、それでデータを作って加工できるということを、自分でやってもらって学んでもらいたいです。

   『横浜のリア充度ランキング1位』と称して『リア充度』とは何かというと『婚姻率が高い・映画館が多い・きれいな景色が多い』などの独自の基準を作ってみるなど、データで遊ぶことをやってみてほしいです。」

 

▽データビジュアライズの方法に関して

小泉氏

  「どこかと横浜を比較するのではなく、横浜の中の状況を表してほしいです。自分が住んでいる区に関するデータや、自分が社会課題だと思うことに関するデータを集めるなどです。『課題を集めよう』だととっつきづらい面があります。」

参加者の方より

  「課題を抱えている人が来て、課題を聞き出して、ビジュアライズする。本人がビジュアライズ出来なくても、周りが聞き出すことが出来ればと思います。

 課題を抱えて悶々としている、課題の深さが見えづらいと感じているものを、データを探して見える様にしてみることが必要ではないかと思います。

 地域課題に気づいてからの、裏付け・根拠としてのデータビジュアライズ化です。」

杉浦氏

  「経済局が行っているオープンデータに関する事業ともつながりがあるため、月に1回人を呼び、学びの場をつくっていくなどもありだと思います。

  学びの場の案は、随時提案を受付中です。コーディネート・組み立てはこちらで行なうため、皆さんからの意見の言いっ放しでも可能です。

  行政・企業・民間が出しているデータをLOCAL GOOD YOKOHAMAで許可を得て紹介できればと思います。

  ファシグラ研究会というところでは、伝えやすくするためのスキルを伝えています。そのようなスキルを学んだ主婦の人などが活躍しているみたいです。」

(参考:

・ファシグラ研究会フェイスブックページ https://www.facebook.com/graphicfacilitation.labo/

・ファシグラ研究会による紹介動画 https://www.youtube.com/watch?v=k5WD7OXzz60)

 

▽まとめ

今回の話し合い内容などを元に、10月2日にデータビジュアライズソンを開催する運びとなりました。詳細は決定次第、横浜コミュニティデザイン・ラボフェイスブックイベントページにてお知らせできればと思います。

 

参考リンク

・なぜ今、インフォグラフィックスなのか

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160215-OYT8T50078.html

・グラフィカシー(Graphicacy)のすすめ

http://tubelog.hatenablog.com/entry/2016/08/29/045156

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