【イベントレポート】 ネパリ・バザーロ 土屋春代さんを招いて〜「地域を知る」「エシカルを知る」ソーシャルな消費者養成講座 第2回 9月29日開催

9月29日、さくらWORKS<関内>で「地域を知る・エシカルを知る/ソーシャルな消費者養成講座」(全5回)の第2回セミナーが開催されました。

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この講座は、横浜市経済局消費経済課とNPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボが協働で実施し、消費のあり方を見つめ直す「消費協働促進事業」の一環として開催されているものです。

第二回のテーマは、「人間の尊厳を支える仕事を創る~フェアトレードの先駆者・ネパリ・バザーロ代表 土屋春代さんに学ぶ」です。

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【土屋春代さん プロフィール 】:ネパールの子どもたちの厳しい状況を知り教育支援活動を始める。同国の深刻な貧困問題に直面し「仕事の機会創出」も必要と感じ、1992年ネパリ・バザーロを設立し貿易を開始し、以後、デザインの妥協をせず、高品質の衣料品を作る技術を現地に伝えつつ、安全な食品などを届ける仕事を続けている。 2011年3月の東日本大震災後は、それまでの雇用開発の経験を生かした支援を東北被災各地で展開。椿油、コスメ、ワインなど、その土地にある素材を活かした製品を開発し、それら製品をつくる人たちと被災地外の人たちとをつなぎ、観光による交流人口増加と地域復興を目指す。2015年4月のネパール大地震の復興支援では、ネパール現地との長年に亘り培った信頼関係、情報収集力を駆使し着実な支援を展開中。

土屋さんは社会起業家という言葉もなかった1992年に、ネパールで女性や貧しい地域で暮らす人々に雇用を生み出すため、衣料品と食品を企画開発・輸入する会社を設立しました。

衣料品では「女性が工房を辞めてからも服を作れるように」という思いから一人の女性が一着の服を作っています。

工程ごとに役割分担をした方が効率的に服を作ることができますが、それでは一度工房を辞めてしまった際に、自分一人では服を作ることが出来ません。

そこで、非効率的であることは覚悟した上で、このような方法を取っています。ネパリ・バザーロではその他にも、農村地区のコーヒー生産支援や子どもたちの教育支援も行ってきました。

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土屋さんがフェアトレードを始めたきっかけは、初めてネパールに訪れたときに現地の女性から「私たちに必要なものは物やお金ではない。私たちは自分で働くことができる。日本は経済大国なのだから、ネパールで作ったものを輸入したり、もの作りのノウハウを教えて欲しい」と言われたことでした。

そこから長い時間をかけて現地の人々と信頼関係を築いていき、高い品質を求める日本の消費者にも買ってもらえるような商品を作ることが出来るようになりました。最初の頃は不安から幻覚をみることもあったそうです。

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「フェアトレード商品には大きく分けて二つあると考えています。一つは認証、もう一つは現地の方々と商品開発の段階から一緒に作り上げていくやり方です」と土田さんは話します。

認証型はフェアトレードマークを取得する方法です。 認証型は大企業が中心に取り入れています。土田さんが目指していることは『スモール(small)』『スロー(slow)』『サステナブル(sustainable)』という3つのSをキーワードに、小さな規模でも継続性のあるフェアトレードです。

「認証型のフェアトレードの怖い点は『マークさえついていればそれでいい』と思考停止してしまう可能性があることです」と土屋さんは指摘します。

 

ネパリ・バザーロでは、ネパールで蓄積したノウハウをもとに東北の被災地でも活動しています。被災地の材料を使った商品を開発し、現地の方々と生産しています。被災地でも、小規模な産業を地元の人と一緒に作り上げていくというやり方を貫いています。

講座の最後に土屋さんは「安い商品にはそれなりの理由があります。品質が高く長い期間使えるものを買う、逆に生産者が不当に扱われてるものは買わないという行動が大切だと思います」と話されました。

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次回の講座は10月24日(月)の14時〜、「野菜直売所フレスコ&苅部さんの畑で地産地消を考える」というテーマで横浜市保土ヶ谷区にある野菜直売所「フレスコ」と苅部さんの畑に出かけてフィールドワークを行います。新鮮でおいしい横浜野菜のお土産付きです。

また、ネパリ・バザーロでは10月29日・30日に「つなぐ つながる市」を開催します。

イベントレポート作成者:横浜コミュニティデザイン・ラボ インターン 細川 高頌